東日本大震災から7年の3.11の今日は、よこすか芸術劇場で、宮本亜門の「魔笛」を鑑賞してきました。
http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=35171
「魔笛」は、モーツァルトがフリーメーソンから暗殺されたきっかけなのでは?というトンデモ説まである名作。
宮本亜門は、エンデの「はてしない物語」のような入れ子構造で、現代の平凡な父親が迷い込んだバーチャルなスピリチュアル・ジャーニーに置き換えています。
現代版「自由・平等・博愛」の世界の実現へ、2つの道筋から、「家族」をテーマに人類の進化の未来を探る、意欲作でした。
1.理性の勝利という目的論的テーゼに向き合う主人公「タミーノ」
脳の肥大化したザラストロ(ゾロアスター教・拝火教・進歩文明)の課した試練に翻弄され、ヒロイン「パミーナ」の母である「夜の女王」からの自立の過程でのアリアドネ的な愛の導きによる成長と善悪の克服
2.主人公「タミーノ」の(ユング心理学的)「影」である、「パパゲーノ」
蛇にそそのかされた?嘘(Fool)から出た、目的のない人生で女性を求める本能の旅の中で、トリックスター的なパートナーのパパゲーナによる人間性の回復と子孫繁栄いう、原初的な幸福の獲得
の物語が、巧みなプロジェクションマッピングによる大人のファンタジーの世界観で、交差しながら描かれます。
震災以降、自分も悩まされて分裂しそうになりながら取り組んできた、
1.合理的な近代西欧文明に対する課題解決手法とその矛盾(宇宙、原子力、ロボット、AIなど)
2.原始的・衝動的で善悪を超えた直感的解決とその危うさ(宗教、愛、家族、欲望、好き嫌いなど)
の二つを、壮年期にどう統合していくかについて、中庸の精神で、無理に統合ぜずに二面性を同時に楽しみ、二項対立ではない、連続的で超越的な新しい世界観を生み出すためのヒントを得られた気がしました。



